『もう怒りで失敗しないアンガーマネジメント見るだけノート』著者:安藤俊介をご紹介します。
怒りに振り回され、怒りの感情をなんとかしたいと悩む人は意外と多いと思います。育児でも職場でも怒ることが教育の面で効果的ではないことや、ハラスメントに当たるいうことが令和では一般常識になりました。アンガーマネジメントは“怒りによる後悔”をなくすためのトレーニングと著者は語っています。不必要な時には怒らず、必要な時には上手に適切に怒ることがこの本の目標となっています。
こんな人におすすめ
- 怒ってはいけないと理解していても怒りが込み上げてきて、感情的になってしまう。
- 怒らないように努力しているのに、きつく言ってしまって後悔する…
そんなふうに悩んでいる人にこのアンガーマネジメントはピッタリです。アンガーマネジメントは「怒らないと決めなさい」「その人の良いところを探すようにしなさい」などの精神論ではありません。怒りを管理するための理論・方法なのです。
アンガーマネジメントとは
アンガーマネジメントとは怒りに振り回されないための方法論のことです。無理のない方法で怒りと付き合うことができます。
アンガーマネジメントとは
- 精神論ではなく理論的・合理的
- 身につけると職場・プライベート・家族関係などの人間関係が楽になる
- 不必要なことでは腹が立たなくなる
- 不満を相手に上手に伝えられるようになる
- 相手が怒ってきても、それに反応して感情的にならなくなる
- 怒りに関する人生の負担がグッと減る
- 怒りを味方にできる
怒らなければ、怒った場合よりも素晴らしい未来が待っていたのか?
著者は“怒り”と“怒りに任せた行動”を別のものとして捉えています。
後悔すべきなのは、「怒ってしまったこと」にたいしてでしょうか?怒らなければ、怒った場合よりも素晴らしい未来が待っていたのでしょうか?と著者は私たちに問いを投げかけます。
怒ってしまったのは何かしらの理由がある
- このままにしたくない何かがあったから
- うまく言語化できなかったとしても、言わなければならない何かがあったから
- 怒らなければ状況が変わらなかったから
そう考えると怒り自体が悪なわけではないのです。
後悔するべきは“怒りに振り回されたこと”
後悔すべきは、怒ってしまったことではなく怒りに振り回されたことだと著者は述べます。
- 相手を傷つけるような言い方をしてしまった
- 相手の立場を無視して怒り、信頼関係を壊してしまった
- 些細なことなのに、感情的になってしまった
- 暴力をふるってしまった
- 物に当たってしまった
冷静さを欠いて、怒りのままに行動してしまうから失敗するのです。
「怒ることは悪いこと」は誤解
「怒りの感情は持ってはいけないもの」と思い込んではいませんか?揉め事を起こさず、穏やかに過ごすことが美徳と学校や家庭で刷り込まれている人も多いと思います。
しかし、怒りは喜びや悲しみと同じように生まれつき人間に備わった自然な感情です。怒りの感情は無視してはいけません。大事なのは怒りを認めてその怒りが損か?得か?と言う視点を持つことだそうです。
怒りの感情を無視せずに、怒りを認めること
- アンガーマネジメントでは怒りの感情を肯定的に捉えている
- 怒りはなくすことができない
- 怒りは自然な感情
- 怒りを感じてもいい
よくないのは怒りを悪いものとして無視し、抑え込んだり暴走させてしまうこと(めっちゃやってた…)
自分が怒りを選んでいることに気づく
怒りの原因は相手や出来事ではなく、自分の中にある譲れない価値観からきています。自分の「こうあるべき」の「〇〇べき」が怒りを生みます。この「〇〇べき」をコアビリーフと呼びます。コアビリーフは「自分の期待や理想」と言い換えることもできます。
遅刻を怒る人もいれば怒らない人もいます。違いはその人が持っているこうあって欲しいと言う期待や理想、コアビリーフにあります。「遅刻は絶対にしてはいけない」と言うコアビリーフを持っている人は怒るし、「遅刻はちょっとくらいしてもいいよね」と言うコアビリーフを持っている人は怒りません。
- 価値観は時代や環境によって大きく変わるので、正解はありません。
- 大切なのは他人のコアビリーフを尊重することです。
怒りの原因が相手や出来事ではなく、自分の中にある譲れない価値観・コアビリーフからきていることがわかると、自分が怒りを選んでいることがわかってきます。誰かや何かに怒らされているのではなく、自分が怒りを選んでいることに気づくと、怒りをコントロールしやすくなります。
許容範囲を意識すると後悔がなくなる
自分の許容範囲の区分けを明確にすると、いざと言うとき自分の気持ちを伝えるべきか、伝える必要がないかが明確になります。
- OKゾーン:自分の「べき」と同じ
- 許容ゾーン:価値観は違うが許せる範囲→許容ゾーンだから伝えなくてもいい
- NGゾーン:許せない範囲→今後のために自分の気持ちを伝る
例えば5分前集合がその人のコアビリーフだとした時
【例】コアビリーフ:5分前集合
- OKゾーン:5分前集合〜時間ちょうど
- 許容ゾーン:時間ちょうど〜10分遅刻まで→もっと早くきて欲しいけど、まあいいか
- NGゾーン:10分以上の遅刻→10分以上遅刻されるのは嫌だと伝えよう
このように許容範囲を線引きすると、自分の気持ちを伝えるかどうかを決めることができます。
ソリューション・フォーカス・アプローチ
怒りの原因を追求すると過去の出来事を思い出し、怒りが増します。解決策にフォーカスしましょう。大切なのはどうなりたいか?を思い描くこと。
- 原因の追求は怒りを強める
↓ - 今できることを考え解決策を探る
書くことで自分と向き合う
私が実際に実践して怒りが減った、紙に書き出す方法をご紹介します。
- アンガーログ:怒りを見える化して、自分の価値観を知る
- ストレスログ:ストレスを見える化して、怒りのもとを絶つ
アンガーログ 怒りを見える化して自分の価値観を知る
自分の価値観を知るために、怒りを記録するのがアンガーログです。怒りを感じたらなるべく、紙に書き出すのがいいそうです。
アンガーログの書き方
- 日時:8月15日
- 出来事:上司から注意を受けた
- 思ったこと:プロジェクトの進行について頭ごなしに注意された。「分かってないくせに」と思った
- 感情の強さ:10段階中8
- 行動:「それは違います」と言い返してしまった
- 結果:口論になり、気まずい雰囲気に
アンガーログを書くときのポイント
- 怒ったらすぐに記録する
- 書いている時は分析をしない
- 主観を入れずになるべく客観視
- 客観的に書くことで後から分析の精度が上がる
- 怒りを感じたらなるべく、アンガーログを書く習慣をつける
- ログがたくさんたまると、怒りの傾向やコアビリーフが見つかりやすくなる
私もアンガーログを書き始めたら、自分が本当はどう思っていたのか?本当はどうして欲しかったのか?妥協案はないのか?などが見えてきました。時間を置いて、夫に、本当はどうして欲しかったのか、どうされると感情的になってしまいやすいのかを伝えることができました。
ストレスログ
- ストレスを書き出す
- 書き出すことで、怒りのもとを断つ
- 明確にするとストレスが減るので、たくさん書き出す
書き出したストレスを分類する
- 自分で変えられるか
- 自分で変えられないか
- 重要か
- 重要でないか
ストレスを分類して優先順位をつける
①自分で変えられる&重要
→変えるとストレスが減る
②自分で変えられる&重要でない
→できれば変えると良い
③自分で変えられない&重要
→受け入れると良い
④自分で変えられない&重要でない
→考える必要がない
変えられることと、変えられないことを認識し、優先順位を付けれるようになればストレスを減らしていけるそうです。
私はこれと前田裕二さんの『メモの魔力』を組み合わせて書き出しています。ストレスのタイトルを書き、具体的にどういうことにストレスを感じるのか事実を書き出し(ファクト)、自分の中にある思い込みを書き出して(抽象化)、変えるなら具体的にどんなことができるのか(転用)を書き出しています。そしてそれをTO DOリストに転写しています。これをすることで、頭の中がスッキリし、不安が減って、心が軽くなりました。
最後に
いかがでしたか?アンガーマネジメントと聞くと、根性論で怒りを制御するイメージでしたが、納得できる理論や、実践できる方法でいっぱいだったのではないでしょうか。
私は小さなことで怒りを感じやすいことが長年の悩みでした。子どもにも何度も当たってしまい、自己嫌悪でいっぱいの日々でした。藁にもすがる思いで、安藤俊介さんの『もう怒りで失敗しない!アンガーマネジメント見るだけノート』を読んで、実践して見たところ、怒りとの付き合い方がわかるようになりました。子どもや夫からも「ママ、怒らなくなったね。」と言われるようにまでになりました。
この本では他にも怒りについての知識や、考え方、いろんなマネジメント方法が書かれています。ぜひとも、ご自分に合う方法を見つけていただいて、望んだ人生を送ってくださいね。